大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和44(オ)119 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人瀬沼忠夫の上告理由第一、二点について。

訴外Dの建築工事により、被上告人の賃借する本件土地と公道との間の通行に支

障を生じて、そのため被上告人は生活上妨害を受けたものであり、被上告人が右建

築工事の是正を求めて関係公署等に奔走したことには、その目的および手段におい

て格別責められるべき事由はないこと、他方、上告人は、右Dの妻の母でありなが

ら、被上告人に対する賃貸人としてこのような生活上の妨害を生じさせないよう配

慮することをせず、かえつて、右建築工事に関する紛争の発生後、訴外Eの和解の

ためのあつせんが行なわれている間にこれを無視して、賃貸借契約の解除に及んだ

ものであること、これらの経緯に関する原審の事実認定、判断は原判決(およびそ

の引用する第一審判決。以下同じ。)の挙示する証拠に照らして、肯認することが

できないものではない。そして、これらの事実に加えて、被上告人は、昭和二八年

に本件土地を賃借して以来、前記紛争発生の直前の昭和三九年一二月までは賃料の

支払を延滞したことはなかつたこと、上告人の賃貸借契約解除の意思表示は、昭和

四〇年一、二月分の賃料合計三〇〇〇円の延滞のみを理由とし、右二月分の賃料の

支払期が経過した翌日に発信されたものであることなど原判決認定の事実関係を総

合すれば、上告人において、被上告人が賃料の支払を怠つたときは催告を要しない

で賃貸借契約を解除することができる旨の特約に基づき、被上告人に対して右延滞

賃料支払の催告をしないで賃貸借契約を解除することは、信義に反し許されないと

ころであるとして、右解除の効果を否定した原審の判断は正当として是認すること

ができる。原審の事実認定、判断に所論の違法はなく、論旨は採用することができ

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ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 色 川 幸 太 郎

裁判官 村 上 朝 一

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